GIFT

モーリシャスで過ごすラストデー。
今日は南を目指す。

 

エクスプレスバス

モーリシャスの面積は、沖縄本島の約1.5倍。
バス網は東京並に張り巡らせれていて、高速道路も完備。
どこへだって日帰りで行けてしまうので便利だ。

昨夜、宿のオーナー(北斗の拳の出てくるゴロツキ顔)が
エクスプレスバスについてレクチャーしてくれた。
その名の通り、高速道路を通るバスで、
こいつに乗れば島の端から端まで1時間で結ぶという。
ただ、バス停が分かりにくいところにあって
今まで利用したことはなかった。

行き先は「マエブール」。
バスの運賃は28ルピー(約105円)と、
通常バスと5円しか違わなかった…。
さすがは庶民の足!懐にやさしい。

 

海を見守る

マエブールは、静かな漁港の町で
モーリシャスを囲むリーフで最も規模が大きい。
沖にはリーフが隆起してできた小島を浮かべている。

 

かつては外国との窓口として栄えた町で、
「都市になることを願う」という意味を持つ。
現在では首都であるポート・ルイスが建設され、
その機能をとって替わった。

バスを降りると、蒸せるような暑さだった。
埠頭近くの広場には、海を見守るかのように
インドの仏像がでんと座っている。
ヒンドゥー教が半数を占める国なので
別に変ではないが、ただ不似合いではあった。
西洋の香りがする町に、インドだもの(笑
まぁ最近じゃ、
アフリカを旅してることも忘れがちだが…。

 

照りつける太陽から逃げるように商店に入り、
冷えたジンジャーエールで喉を潤した。
町は小さく、30分も歩くと一通り見て回れた。

 

ブルー・ベイ

「ブルー・ベイはナンバーワンだ!!」
宿のゴロツキ、いやオーナーがそう言っていた。
よし、1番を見てやろうじゃん。
ここマエブールからブルー・ベイまではおよそ4kmで、
バスで行くことができる。

バスは海岸線を走り、ものの15分で
終点のブルー・ベイに到着した。
料金はたったの18ルピー(約70円)。
“世界一”とも言われるモーリシャスの海で、
ナンバーワン!!と、オーナーお墨付きの場所。
松の林を抜けると、
見たこともない海が広がっていた。

 

真似できないアオ

……。

目を疑いたくなるほどのブルー。
青、蒼、藍、あお、アオ!!!!
色んなアオが目に飛び込んできた。

…。

もう、言葉はいらないね。
力が抜け、その場に座り込む。
同じ構図で何枚も写真を撮り、
目の前の景色と画面を見比べた。

す、すごぉい…☆

沖縄の海、小笠原の海、
地中海も、エーゲ海も、紅海も、
どんな海にも真似できないアオ。

これが世界一かぁ!?

唐突にチャンピオンになった気分だった。

ぼんやりと海を眺めた。
誰かに教えたくてしょうがない気分だ。
ジーンズをまくって浅瀬を散歩する。
透き通った水が、太陽で乱反射していた。

ゴゴゴォォォっと青空を割って
飛行機が行く―。
空を見上げ、まぶしさに目を細めた。
すぐ隣にはプレザンス空港があり、
明日はこれに乗ってマダガスカルに戻るのだ。

 

いちばんキレイな色

モーリシャスというボーナスステージも、
これがラストシーン。
たくさんの光に包まれながら、
ただただ立ち尽くしていた…。

毎日海ばっかり見てた。
空の海の境目、水平線にピントを合わせ
何枚もシャッターを切った。
早起きをし、バスに揺られ、
夕日を見ながらバスで宿へ帰る。
ひとりぼっちで。
同じリズムで、同じ歩幅で、
4日間をこの楽園で過ごした。

―いちばんキレイな色ってなんだろう?
―いちばん光ってるモノってなんだろう?

モーリシャスで手に入れた
最高の“GIFT”。
何かが終わってしまうのは淋しいけど、
それが前に進むことだと思っている。

 

旅のカケラ/slideshow

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です