アディス・アベバで迎える2度目の朝。
シェラフの中で震えながら、手を伸ばし
ケータイのアラームを止めた。
午前8時、本日も快晴である。
マルカートに行こう
なんといっても毎朝、
アツアツのシャワーが浴びられるのが嬉しい。
湯煙の中で幸せを噛み締めた。
朝はドーナツを2個頬ばる。
50円。
モーニングコーラも欠かせない。
30円。
モグモグと口を動かしながら
ガイドブックを眺め、
どこに行こうか、とプランを練った。
「よし、マルカートに行こう」
アディス・アベバは雲が多く、天気が変わりやすい。
空を見上げると雨雲が出てきていたので
にわか雨をやり過ごしてから出かけた。
マルカートとは、アフリカの市場を指し、
ここアディスのマルカートは
アフリカで一番の規模を誇る。
アフリカ最大の市場
雨でぬかるんだ小道の脇に、所狭しと並ぶ店。
そこはまるで巨大な迷宮で、
カラフルな衣装をまとった人々が
頭に大きな荷物を抱えながら行きかっていた。
バラック小屋では、馬具を作っていた。
こっちは金属製の七輪だ。
ロバの群れに背中を押された。
家と家の隙間にも品物が並べられ、
ケータイのパネルや割れたガラス、
手足のもげたリカちゃん人形など、
いったい何に使うんだろう?と、
首を傾げたくなる珍品もあふれていた。
カンガと呼ばれる布を2枚購入した。
1枚50ブル(約500円)だったが、
粘り強く交渉して
2枚で65ブル(約650円)にしてもらった。
原色中心の派手な色使いがいかにもアフリカらしい。
これを襷のように肩からかければ
ぐっと雰囲気が出るってもんさ☆
迷路のような毎日
アフリカの都会で過ごす穏やかな一日。
空にはいわし雲がかかり、
秋の風が頬をかすめていく。
こうした何気ない時間ほど
日本が恋しくなるのはなぜだろう。
カメラとリュックを大事に抱え、
とぼとぼと宿に向かって歩いた。
知らない言葉が飛び交う。
ふと視線を上げれば、真っ黒な人たちが
マジマジとこっちを見ている。
そうか、この街にとって自分だけが異分子なんだ。
迷路のような街。迷路のような毎日。
でも、迷わず真っ直ぐに
アフリカの深みを目指して進んでいる。
夢が叶った瞬間って、
とても静かで、
穏やかな時が流れていくことを知った。
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