微笑みの国

目覚ましの要らない朝。
好きな時間に寝て、好きな時間に起きる。
これ、アユタヤスタイル。

 

レンタバイクで遺跡めぐり

いつもよりちょっと遅い午前9時に目が覚めた。
チェックアウトは正午なので、まだ時間がある。
外はいい天気♪
じゃあ、遺跡を見にいくしかないね。

ちょっと遠くまで足を延ばそうと
レンタバイクを利用した。
1日250バーツ(約700円)。
正月のせいか、道路はガラ空き!
たまぁ~に観光客を乗せたバスが通るくらい。

そういえば、渋滞天国のバンコクも
びっくりするくらいスムーズに車が流れていた。
東京だってこの時期は道路が閑散とするが、
でもその分、歩道は人で溢れかえっているっけ…。

大きな橋を渡り、線路を越え、風を切った。
真っ赤なヘルメットをちょこんと頭に乗せ、
スロットルを手前にひねる。
すぐさまエンジンの振動が腰から伝わってきて
素早いレスポンスに気分がいい。
原付なのに、なぜかメーターは140キロまであり、
おいおい…と苦笑いした。
ほとんど地図を見ることもなく、目的地へと向かった。

 

厳粛な気持ちになる

「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」
空に向かって高く伸びるストゥーパや
大きな涅槃仏が印象的な寺院である。
そして境内の中央にあるチュディを囲むようにして
何十もの坐仏が並んでいる。
地元の人たちが蓮の花を手に熱心に祈りを捧げていた。
蓮と線香、仏像に貼る金粉を購入し
彼らの仕草を真似てみた。

カタチは違えど、日本もタイも同じ仏教国。
ましてや年のはじめだから
厳粛な気持ちになるのは必然だ。
旅の無事を祈願し、寺を後にした。

 

カオサン通りに戻る

宿に戻るとちょうどチェックアウトの時間だった。
さて、どうしようか。
忙しく観光をするのも悪くないが、
もう少し正月気分に浸っていたい。
戻ろうか、カオサン(バンコク)に。
バスに揺られ1時間半、道が空いているので
こんなに近かったっけ!?ってほど
簡単にバンコクに帰ってきた。
大晦日に泊まったあのホテルに戻り、
1泊2000円以上するダブルルームを取った。

カオサン通りは世界中からバックパッカーが集まるため、
宿や食事、インターネットに困ることがない。
しかも自宅のネットよりも快速で、びっくりする!
今はちょうど乾季ということもあり、
あの嫌な湿気がまったくなく、涼しい。
日本よりも快適な場所にいる気がしてならない。

また、買物もすこぶる楽しい。
日本でいえば原宿。
ここ数年でメキメキと力をつけ、
日本に負けないセンスの良さを発揮している。
クタクタになった服を新調しようと、
露店やショップを覗き、あれやこれやと買い漁った。

 

微笑んでしまう国

1つ気がついたのだが、
タイ人がとても優しくなった気がする。
この旅ではムスリムたちの優しさに感動したが、
それとは別の感覚。
そう、日本人的なのである。
押し付けがましくない優しさ、
そこにはほどよい距離感と空気感があり、
なによりも自然だ。
買物をしていても押し売りはまったくないし、
値切りに対するかわし方も上手い。

微笑みの国とはよく言ったもので、
微笑みかけられる、というよりも、
こちらが微笑んでしまう国だな、と頷ける。

暑さやジメジメが和らいだせいか、
タイが急速に豊かになっているためか、
彼らには余裕が見受けられた。
甘く見ていたぜ、タイ…。
この国がもっと好きになった。

ただ残念なことにここ10ヶ月で
物価は1.5倍ほど上昇している。
“円高”という武器があるため、さほど気にならないが
このまま発展をつづけ、
先進国の仲間入りをする日はそう遠くないだろう。

かつての日本の姿に重ねながら、タイの行く末を想像してみた。
低迷する経済、迷走するアイデンティティー、
無意味な殺人に、重くのしかかるストレス社会…。
09年の日本はどこへ向かっていくのだろう?

旅も、人生も、そして日本も
微笑みを見失わずにいたいものだ。

 

旅のカケラ/slideshow

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