ベリー、ベリーズ♪

中米最後の国に向かった。

出発はもはや恒例となった夜明け前、午前5時。
起きれるか?と心配な面持ちで眠りにつくもそこは旅先。
普段よりも緊張感があるため目覚ましよりも早く目が覚める。

「起きてる?」
新・旅のパートナー、ヒロ君に問う。
「もちろん!」
彼も朝にはめっぽう強い。(心強いよ)

 

とても小さな国

定時よりも15分遅れでミニバスがピックアップに来た。
荷物を屋根に積み、車内に乗り込む。
ここフローレスから国境まではおよそ2時間、
ささ、寝直しましょ。

■フローレス→ベリーズシティ
(所要時間:約5時間/運賃160ケツァール 約2000円)

グアテマラ国境でひと悶着あった。
出国税は10ケツァール(約120円)だと聞いていたため
出国税分だけ残して両替をした。
すると窓口で
20ケツァール、と言い出すではないか!?
えぇ、さっきそこで10ケツァールだって…
「ノー。20ケツァール」
絶対賄賂だ…。

出入国税はどこにも金額が書いてないので
係員の気分でなんとでも言える。
他国の通貨でもいいと言うので
渋々20ケツァール分支払うことに。
金額にすれば240円程度だが、気分の問題だよ。ちぇ。

 

国境越えで一悶着

悪いことは重なる。
つづいては「ベリーズ」への入国。
この国は中米で唯一ビザが必要な国で、
しかも日本人は50ドルも徴収される。
つい最近までは25ドルだったのに
ビザ代もどういう基準で定められているのか
腑に落ちない制度である。
外貨を落として行くんだから無料で入れてよね。

申請用紙を記入し、ビザ窓口(個室)に向かった。
扉をノックし、挨拶と笑顔を絶やさずに入室。
すると、黒人の係員が

「今、朝食を食べてるから外で待ってろ!」

と、手の甲でシッシと追い帰されてしまった。
で、でもバスが…(泣)
国際バスなので国境を越えたところでバスは待機している。
一緒に乗ってきた欧米人はノービザでOKなので
遅いな日本人は…とご立腹かも知れない。
ひょっとしたら置いていかれる…なんてことも。

10分後、しびれを切らしてもう一度ノックし部屋を訪ねた。
「だから、お前は。大人しく待ってろ」
「バスが行っちゃうんです…」
「だいたいなぜビザを取って来ない?
ここでビザを発給するのはサービスで、
俺の仕事じゃないんだ」
(そんなはずないだろ。じゃ何の仕事をしてると言うんだ)←心の声

「待てないんだったらグアテマラに帰れ!」
出たよ、このひと言。
なんだよこの国境…一気にベリーズのイメージがダウンした。
言わせてもらえばベリーズに興味なんてないんだよ!
ただ、メキシコのカンクンに行くための近道だっつーの!!

焦りと暑さでイライラしてしまう。
20分ほどでようやく朝食が終わった。
50ドルを支払い、ビザをもらった。
急いでバスに駆けてくと
よかったちゃんと待っててくれた。
というか、あまりに遅いものだから
運転手や乗客は近くの食堂で食事を摂っていた。
ゴメンね。

 

ベリーズに入国

スマートじゃなかったけど
えー、58ヶ国目「ベリーズ」に入国っ!!!
あとはゴールのメキシコだけだね。

「ベリーズ」はひと言でいうと変な国。
1981年に独立したためアメリカ大陸でもっとも新しい国で、
中南米はそろって公用語がスペイン語なのに
この国だけ英語が公用語。これはイギリスの植民地だったためである。

一番驚いたのが人口の少なさ。
国土は四国よりもやや大きいのに人口はたったの27万人。
森林が国土の65%、残りが沼沢地帯というベリーズでは
自然が主人公であるらしい。
首都はベルモパンで、「世界一のどかな首都」と言われている。

ベリーズシティに向かう道中に首都を通過するので
写真を撮ろうとカメラを構えていたが
いつの間にか「ウェルカム トゥ ベリーズシティ」の看板が!
えええぇ、いつの間に通過したの?
のどか過ぎて気がつかないほどなのだ…。

 

絵に描いたような南の島

終点のベリーズシティでバスを降り、
すぐにフェリーに乗り換えた。
行き先は「キーカーカー」、カリブ海に浮かぶ小さな島。
すぐ沖には世界第二位の規模を誇る珊瑚礁
ベリーズバリアリーフがある。
世界遺産にも登録されているので
ここでシュノーケリングをしようと思っている。

■ベリーズシティ→キーカーカー
(所要時間:約40分/運賃25ベリーズドル ※約1250円 ※往復)

カリブの海は水色だった。
遠くに小さな島が見え、これが絵に描いたよう。
半径30mほどの白砂の島に家が一軒だけポツンとある。
きっと島ごと誰かの持ち物なのだろう。
あんなところに行ってみたいものだ。

 

キーカーカー

キーカーカーも想像以上だった。
直径2kmほどの細長~い島で道はすべて白砂。
以前訪れた沖縄の離島、竹富島を思い出した。
サンサン照りつける太陽、椰子がザワザワと風に揺れる。
のどかで、素朴で、リゾートというよりも癒しの楽園。

ここでもまた旅の終わりを感じずにはいられなかった。
驚きと発見、そんな刺激に満ちた旅路の果て―。

古い木造校舎のような宿にした。
1泊17.5ベリーズドル(約900円)。
となりのトトロ?
そんな忘れてしまった田舎の匂いがした。

ジリジリと身を焦がしながら砂を歩く。
海は見たこともないほど透明で、どこまでも青い。
近くのバーからゴキゲンなレゲエが流れる。
時計の針がゆっくり進むような感覚。ストレスのない場所。
なんだよベリーズ、いいとこじゃん☆

 

海と島と太陽

 

カリブ海には聞いたこともないような島国が連なっているが
きっとこんな感じなのだろう。
いつか、いつか行ってみたいものだ。

魚を手にした少女、
2mはあろうかという大きな海鳥がそれを咥えていく。
海の中のベンチ、
足を魚につつかれながら絵葉書をしたためた。

陽の傾きによって色を変える海、
大好きな青のグラデーション。
時間の感覚が麻痺し、音も遠くに聞こえてくる。
魂が身体から抜け出して、空をたゆたうような感じ。
来てよかった、ベリーズ♪

海と島と太陽。
ベリー、ベリー、ベリーズ♪

 

旅のカケラ/slideshow

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