1歩の重みを知る

※まさかのこの日3本目の日記です。
できれば「ネパールは今日も雨だった」
「カンゲキとカンゲキ」をお先にどうぞ

ジョムソンにいる。本当にいる。
15ヶ国目、ムスタン王国(ジョムソン街道)。
石畳の美しい村をもったいない、もったいないと
何度もシャッターを切りながらカメのように進む。

 

さて、どこへ行こうか?

地図を広げる。
この地図には所要時間の目安が記載されているので、
自分の足と相談しながら行き先を決めた。
よし、「ジャルコット」にしよう。
地図によると村までは約7時間。
今から向かえば夕方には着く計算だ。

前方にはヒマラヤ山脈が広がり、
ときおりアンナプルナが雲の隙間から顔を出す。
道は1本道で迷いようがないが、
さすがは飛行機か徒歩でしか来れない場所。
森林限界を超えているため緑は皆無。
ただただ砂利道の川原が広がっていた。

10歩歩けば1回はシャッターを切る。
そんなペースだから地図の時間からはどんどん遅れていく。
おまけに今はシーズンオフ。
ツーリストなんてまず見かけない。
気がつけば広い荒野にポツンといるよで…と、
「あの素晴らしい愛をもう一度」の3番の歌詞状態。

 

風が強くなってきた

1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、いつしか5時間が過ぎた。
足が重い…。まだ半分くらいしか来てないぞ、おいおい…。

 

失敗の原因を探ってみた。
1、足元はスニーカー、そしてジーンズ。
なんてお気楽な格好でトレッキングをしてるんだろう。

2、ザックの中身は大量の電子機器。
パソコン持ってくる人は珍しいだろう。

3、ジャルコットへはひたすら登り。
標高4000m近い高地で、初日に選ぶ場所じゃなかった。
とまあ、いかにも初心者。

それでも持ち前の根性だけで歩みを進めた。
夕方に近づくにつれ、風が強くなってきた。
登り+向かい風で、一歩がとても遠い。
もう、前を見ず、足元だけをみて歩数を数えながら歩いた。

遠くに見える村。いっこうに近づかない。
10分歩いては10分休む。
あれ、こんなに体力なかったっけ??
1歩の重みをこれほどにまでに感じたのは初めてだった。

 

 

この世でたったひとりだよ

息は切れ、動機が激しい。
頭は痛み、吐き気をもよおした。
あそこの白い石まで、そこの花まで。
小さな目標をいくつもたて、自分を鼓舞する。

ひとりだ、この世でたったひとりだよ…。

もうダメだ、誰か助けて…。
$%&‘()(’()()!!
大声で意味不明な言葉を叫び、
何度も石につまずきながら、
それでも前に進んだ。

カメラを構える、身体がよろめく。
あー、手振れした、、、。しんどいよ(泣)
歩き始めて8時間、
もうカメラを握る手すら痺れてしまった。
でも、ジャルコットの村にたどり着いた。

どこでもいい、と目の前のホテル(高そう、、、)
に倒れこみ、部屋と食事を用意してもらった。
こぎれいなシングルルーム、60ルピー(約110円)
たっぷりのネパール定食、220ルピー(約400円)
命拾いしたヨロコビ、プライスレス。

料理が運ばれる間、レストランで眠ってしまい、
出されたダルバートというネパールの定食をかきこむと
そのまま部屋で朝まで死んだように眠った。

そういえば、今日は深夜1時に目を覚ましたんだった。
そりゃ、こうなるわけだ…。

 

旅のカケラ/slideshow

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