おあずけのレー

朝目が覚めると、軽い頭痛がした。
そうか、レーにいるんだった。

 

本当のチベット

「レー」は標高3500m、ジャンムー・カシミール州、
ラダックの中心地で、かつてはラダック王国の首都として
繁栄を見せた街である。

この場所が外国人に開放されたのは1974年のことで、
軍事的理由により長い間閉ざされた場所だった。
そのためこのレーを中心とするラダックには、
チベット本土では破壊され、
失われてしまった本当の仏教文化が残されていて
「本当のチベット」と、呼ばれている。

チベットはこの旅で最も憧れていた場所。
一番行ってみたい国は?と聞かれたら
「チベット!」と、小さい頃から答えていたものだ。
そんな地に今いる。

 

ゴンパを巡りたい

早くゴンパ(チベット寺院の総称)に行きたい!
と、いつもならベッドを飛び出すのだが
今日は1日、のんびりと部屋で過ごすことにした。

その理由は1つ、高山病が恐いからだ。
やっとの思いで辿り着いたレー、高山病でリタイヤは絶対に避けたい。
まずは身体を高地順応させてから、ゴンパを巡ろうと思う。
ガイドブックの同じページを何度も読み、
その旅に胸をときめかせながら、はやる気持ちを必死に抑える。

「待つ」って退屈なことだけど、
楽しみが大きければ大きいほど、有意義な時間になる。
早く明日が来てほしいような、
もっとこのドキドキを味わっていたいような、変な気持ち。

 

「あたりまえ」を知る

日本ではよく、イライラしながら電車やバスを待ったが
こんな気持ちで待てたら良かったのに、と思う。
何が違うんだろう?

時間に追われる生活と、
時間の中に身を委ねる生活の違いかな?

でも気持ちの持ち方ひとつで、毎日って変わるんだな。
この旅を振り返ってみると
こんな「あたりまえ」のことが大事だったりする。
あたりまえ過ぎて、見えない、忘れていた、
そんなことが本当に多い。

ちょっと立ち止まって、心を少し開いてみれば
できたことだったのに…。
こんな簡単なことに気づくために、世界を回っている自分。
そう思うとなんだか笑えてくるから
ますます旅は面白い。

 

旅のカケラ/slideshow

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