午前5時30分、
激しく揺れていたバスが大きく息を吐いた。
「マナリ」に到着だ。
昨日までの暑さが嘘のように涼しい、いや寒い。
フリースのジッパーを目一杯閉めて、
早朝の宿探しに臨んだ。
まるで避暑地
マナリはインド人をはじめ、多くの欧米人が訪れる避暑地。
日本でいえば軽井沢のようなところだ。
街の中心に沢が流れ、V字に切り立った谷に
たくさんのホテルが立ち並んでいる。
どのホテルも広い庭やバルコニーがあり、とてもオシャレ。
ここが本当にインドかと疑ってしまうほどである。
宿泊料金を聞いてさらに驚いた。
いつもの6倍の値段はさすがにキツイ…。
もっと安いホテルはありますか?
そうオーナーに尋ねると、
「オールド・マナリ」に行けばたくさんあるよ、
と親切に教えてくれた。
オールド・マナリ
オールド・マナリは中心街から谷を上った先にある。
食事や買い物には不便だが、
見晴らしがよく、静かな場所だった。
ホテルも100ルピー(約270円)と、目論見どおりの値段。
しかもホットシャワー付の部屋だから喜びも倍増した。
昨夜はバスで2時間しか寝ることができなかったが、
ヒマラヤ山脈に抱かれた美しい街並みに誘われ、
すぐに宿を飛び出した。
気温20度、湿度がなく風が心地いい。
水のせせらぎと鳥たちのさえずりが重なり、
すれ違う人々の表情も明るい。
あのインドの喧騒はどこへ行ったのやら?
まるで違う国に来たような感じがした。
ヒマラヤが見える街
小洒落たオープンカフェで高めのチャイを飲み、
チベタンマーケットで民族衣装を買った。
これじゃあ旅人ではなく、完全に旅行者だ…。
でも久々のウキウキした気分に、
そう簡単にブレーキは効かなかった。
明日は温泉に行こう!
これから先の暑さ、辛さを思えば、
こんな息抜きもきっと必要なはず。
そう自分に言い聞かせながら、
ヒマラヤが見える街に溶けていった。
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