アラビアンフード?
そんな文字に心惹かれて入ったお店。
大きな串に刺さった肉を包丁で切り落とし、
ケバブを作って出してくれた。
英語でいいよ
体格のいいご主人は、どうみても中国人でない。
つたない中国語で話しかけると、
「英語でいいよ」と笑ってくれた。
以前はサウジアラビアでお店をしていたそうで、
最近ここカシュガルに移転したのだとか。
現地からスパイスを取り寄せているから美味しいんだ!と
自信に満ちていた。
うん、たしかに美味しい。
ピタと呼ばれるナンによく似たパンに、
肉、トマト、キュウリ、レタス、
そして揚げたてのポテトも入れてくるくると巻く。
マックのラップサンドを想像してほしい。
会話をつづけていると、
彼はパキスタン人だということが分かった。
ビザの情報
「パキスタンに行きたいんだよ!
フンザ!キレイな場所でしょ?」(KAZ)
「フンザは小さい町だけど、ベリーグッドさ」(ご主人)
「でもね、ビザがないんだ…。日本人にとってパキスタンは
入りにくい国なんだ」(KAZ)
「大丈夫さ。キルギスでビザを取ってこればいい」(ご主人)
そうそう!まさにその予定なんだよ!
明日、キルギスへ行くんだよ!
これは何かの巡り合わせだろうか?
出来すぎた偶然に、俄然希望が湧いてきた。
難しいと言われるパキスタンビザが
なんとかなる気がしてきた。
今なら無敵さ
「いざとなったら大使館で見せたいから
一筆、紹介状を書いてよ」(KAZ)
「もちろんいいよ!絶対大丈夫さ」(ご主人)
グニャグニャとした文字が紙を走る。
さぁ、飛び出してごらん!
そう言ってる気がしてならない。
重たかった空気が動き出した。
“流れ”ってやつがこっちに来てる。
今なら無敵さ、きっと。
ワクワクした気持ちが一気に溢れてきた。
「ありがとう!ビザをもらったらここに戻ってくるから、
絶対覚えておいて」(KAZ)
するとご主人はケータイを取り出し、写メをパチリ。
「これでジャパニーズフレンドだ。
戻ってきたら美味しいケバブを作ってやるよ」(ご主人)
明日はキルギス。
まったく知らない国だし、先も読めない。
でも、このメグリアワセを信じて進もう。
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