「ハロー、カズ。ディナーに行かないか?」
同じ宿に泊まっているジュリアンとクレアが誘いにきた。
「OK、ちょっと待ってて」
慌てて準備を始める。
食事を終えたばかりのアリも、
コーヒーだけ付き合うという。
言葉の壁
彼らはみなフランス人。
ゆっくりと丁寧な英語で合わせてくれる。
そしてとても頭がいい。
語彙力がない自分のつたない英語もすぐに察知し、
意味を理解してくれる。
言葉とは、思いを込めれば伝わるものだ。
食事の間、話はおおいに盛り上がった。
ジュリアンはカルロスゴーンが
元いた会社で働いていたこと。
クレアはまだ23歳で、
これからニュージーランドや南米を回ること。
アリはフランスの小さな田舎町に住んでいること。
英語が話せないはずなのに、
彼らの言葉が伝わってくる。
言葉とはやはり「言霊」なんだな、と実感。
いつかどこかで
彼らも長期旅行者。
これは人生で1回のチャンスなんだ、
と気持ちは同じであった。
それぞれの旅は続いていく。
日常とはかけ離れた、旅人時間の中で。
「Have A Nice Trip!」
互いの健闘を称え合い、握手で別れた。
「Sometime Somewhere」
―いつかどこかでまた会いたいな。
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