かつてイギリスの首相チャーチルに
「アフリカの真珠」と呼ばれたウガンダ。
この国を走っていると、とにかく緑が豊富で
アフリカのイメージを大きく覆してくれる。
ジンジャへ移動
AM6時、今日は早起き。
というもの、首都カンパラの人の多さと
のんびり気質に嫌気がさし、
早々にウガンダを脱出することを決めた。
昨日は、「カスビ・ヒル」という世界遺産を見たので、
あと行っておきたい場所は「ビクトリア湖」。
ここは世界で2番目に大きい淡水湖で、
ナイル川の源流のひとつ“白ナイル”もここから始まっている。
まずは首都カンパラから「ジンジャ」を目指すことにしよう。
街の中心にあるタクシーパークにやって来た。
1000台近いワゴン車が停車していて、
まるで中古車市…!?。
でもワゴンを覗くと運転手がいて、乗客もちらほら。
まだか、まだか、と出発を待っているのだ。
そんな1台に乗り込んだ。
幸い乗車率90%で、出発は近そうだった。
ジンジャまではおよそ80km、
運賃は5000シリング(約250円)。
マダガスカルと同じ乗り物だが、
(マダガスカルではタクシーブルースと呼ばれている)
1列を4人がけしないあたり、この国は理性的。
出発を待っている間、周囲を見渡していると
おかしな発見をした。
このワゴン車(タクシー)はすべて日本のお古。
車のボディには、○○運送、△△幼稚園、□□株式会社と
社名が刻まれていた。
律儀に、剥げかかった社名を塗りなおし、
オシャレとして楽しんでいる車もある(笑
ちなみに車種はすべてTOYOTAのハイエースである。
ビクトリア湖の入口は?
2時間後、ジンジャに着いた。
とはいえ、ビクトリア湖は巨大なので
どこに行けばいいのか検討がつかない…。
ガイドブックに載っている
「スピーク記念碑公園」にでも行ってみるか?
この町では自転車タクシーが主流。
ちゃんと荷台にクッションが敷いてあるので
乗り心地は悪くない。
「いいよ、Let’s Go!」
出発を合図を送り、運転手の肩に手をおいた。
ちょっと青春時代が甦る、そんな乗り物♪
スピーク記念碑公園の入口には料金所があり、
入場料が10000シリング(約550円)だという。
「た、高いって…」
国際学生証を提示し、ディスカウントを要求するも
ノー!の一点張り。
じゃあいい、と帰るふりも通用せず、
そのままおずおずと反対方向へ歩き出した。
ちぇっ…。
さて、どうしたものか。
こんなときは切り札“テキトー歩き”である。
公園を迂回するカタチで、湖の方向へと歩いた。
1時間くらいあるいただろうか、
湖畔に抜けられる道を発見した。
坂道を下っていくと、大きな湖が目の前に広がった。
島に渡らないか?
「ビクトリア湖だぁ~」
小さな集落があり、子どもたちが遊んでいたので
そこに混じることにした。
カメラで写真を撮り、画像を見せると
みな大はしゃぎ!
いつの間にか村中の子どもが集まってきて
写真大会が始まった。
夢中になって撮っていると、
ジルという名のイスラエル人に声をかけられた。
「ボートで島に渡らないか?」
10人乗りほどの小さなボート。
辛うじてエンジンがついていた。
なんでも、島で自分たちの船を作っていて
かれこれ8ヶ月になるという。
ジンジャの町で食料や生活用品を買い込んできたようだ。
「いくら?」
「1000シリング(約55円)」(ジル)
「じゃあ、行ってみようかな」
ボートに乗り込むと、5分も待たずに出港した。
対岸にある島には小さな集落があり、
みな漁業で生活を営んでいるという。
ジルには3人の仲間がいて、船が完成したら
タンザニア、ケニアと周遊するらしい。
サングラスにくたびれたハット、顔中の髭と、
風貌も冒険家そのものだった。
集落と子供たち
30分で島に着いた。
釣竿がついた小舟がいくつもあり、
浜には投網が干してあった。
古びた土づくりの家々が並ぶ、静かな集落。
もちろん電気はない。
ジルの船を見せてもらった。
完成間近で、翌週にはテストで水に浮かべるという。
帆船で、文字どおり風まかせの冒険をする。
「この船で国を巡らないか?」
もし、もう1度誘われたら、
今度は丁重にお断りだけどね(笑
ひとり、集落を見学することにした。
50棟くらいの小さな村で、
ジルから聞いた名前も忘れてしまった。
ここにもたくさんの子どもたちがいた。
子どもたちと仲良くなるのは簡単。
カメラを向け、撮った写真を見せる。
あとは一緒になってはしゃげばOK。
言葉はいらない。
ギャーギャーと騒げば騒ぐほど、
彼らとの距離は縮まるのだから。
30分後―。
村中の子どもたちを引き連れて歩く羽目になった(笑
童話にこんな笛吹きがいたな? そんな状態。
撮って、撮って攻撃は収まる気配もなく、
あまりに騒ぎ過ぎたため、
親たちに怒られる場面もあった…。
子どもたちとの遠足で村を巡った。
(じゃあ、引率の先生?)
村は丘状になっていて、てっぺんには
捕れた小魚が天日干ししてあった。
それを狙うアヒルやカモ。
棒を持って追い払う女性たち。
昭和の日本のような光景に心が和む。
帰りの船
さて、行きはよいよい、帰りは…。
帰りの舟がない!
船頭らしき人に尋ねるも、
「10人集まったらね」と、
昼寝しながらの返事。
まぁ、急ぐ用事もないし、いいか。
湖畔に座り、持ってきた本を広げた。
宮部みゆき。タイムスリップするミステリー小説。
そか、今日の冒険もある意味タイムスリップだ。
「さぁ、現代に帰るぞ!」
ジルが大声で呼んでいる。
ジンジャに行く用事ができたため、
舟を出してくれるという。
6人乗りの小さな舟で、エンジンはなく手漕ぎ。
いやいや帰れるなら何でもOK。
およそ1時間、水の音を聞きながら転寝した。
町まではジルがバイクで送ってくれた。
用事は何かを尋ねると、
「葉っぱ(マリファナ)が切れた」とひと言。
……。
旅先で出会うイスラエル人はこの文化が大好き。
「KAZも吸うかい?」
いやいや、そっちのトリップは遠慮しときますよ。
ジンジャの町をバイクで風になり、
ジルとの出会いがもたらした冒険に感謝した。
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