飛光よ、飛光よ

ダハブ、5日目の朝。
さすがは世界屈指のダイビングスポット!
いい感じで、この地に沈没させられてしまった。

 

旅の意味が変わってきた

ホントなら2泊でカイロに向かう予定だったが、
ある人物との再会により、予定を引き延ばした。

「カズマ」
この日記に登場するのはもう3度目だろうか?
最近は旅のスタイル、いや
旅の意味が変わってきた気がする。
旅立って半年は、何かを貪るように
日々忙しく過ごした。

ところが最近は、記録よりも記憶を大切にしている。
“キオク”とは、目で見たすべてではない。
出会いや別れ、そして時のうつろい。
ずいぶんと時間が経ってから
脳裏によみがえる出来事もキオクと呼ぼう。

風の温度や潮騒の音、
夜空の色や優しい香りも。
カズマも色濃いキオクのひとつ。
昔からの気の知れた仲のように感じるし、
言葉や行動に新鮮な刺激を感じることが多い。

 

遠く儚い約束

 

たしかボクシング用語に
「ミックスアップ」という言葉があったような。
力が均衡したふたりが闘うことで
お互いの隠れた能力を引き出しあう、そんな意味。
高めあう存在、共鳴する間柄、つまりはライバル。
彼との関係もそんな感じなのだろう。

なんとなく、カイロまで一緒に行こうと思っていたが、
彼はもう少しここに残るという。
いいんじゃない?
「次は南米で会おう」
遠く儚い約束だけど、
絶対に会える気がしてならないから不思議だ。
偶然ではなく必然の出会いは、
時間や距離を超える力を持ってるしね。

 

 

 

“キロク”という面から考えたら、
ここダハブでやったとこは何だろう?
今日は郵便局まで行ったものの、
「クリスマスだから」という理由で休みだったし…。
なぜにクリスマス?
今日で明けたラマダン。
イスラム諸国ではラマダン明けをそう呼ぶのだろうか?

毎日同じ店でコシャリを食べ、
ちょっとだけシュノーケルを楽しんだ。
そんくらい。
あとは、うーんと…、
まだキオクが固まっていないことにしよう(笑

 

この旅はどんな風に結ぼうか?

明日はカイロに向かう。
イスラエル帰りの喪失感も癒えた。
あのとき同じ時間を過ごした
友らからもらったメールにも、
同じように喪失感を抱いていたことが書かれていた。
なんだよ、一緒じゃん(笑

よし、浮上だ。
ここ最近のもやもやとはサヨナラしよう。
ダイビングでは急浮上は危険らしいから
(『海猿』にもそう書いてあった)
ゆっくり、ゆっくりとね。

夕方、『深夜特急』の5巻を読み終えた。
作者が旅の終わり方を模索するシーンだ。
彼もまた、喪失感に苦しんでいた。
しかし最終巻ではその答えを
「飛光よ、飛光よ」と結ぶ。

さて、この旅はどんな風に結ぼうか?
ハハハ、検討もつかないや。
でも納得顔でいたいものである。

旅は分岐点を過ぎ、確実に終幕に向かっている。
明日は1ヶ月ぶりに相方ヒロとの合流だ。
彼も同じように模索しながら
迷いの日々を過ごしたのかもしれない。

「どうだった?」
そう声をかけ、
旅の結びを一緒に探しに行こうかな。

↑Tシャツに墨で文字を書いてもらった。
その言葉は「負ズギライ」

 

旅のカケラ/slideshow

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です