暁の寺と日本食

チャオプラヤー川をボートに揺られ、
ワット・アルン(暁の寺)へやって来た。

三島由紀夫の小説にも登場する、
バンコクでは極めて有名な寺院で、
七宝焼きにも似た美しい装飾には、
思わず目を見張るものがある。

 

ワット・アルン(暁の寺)

前回タイを訪れた際はここには立ち寄らず、
さっさと北上してしまったので、およそ3年ぶりの訪問となった。
急な階段の塔を上ると、チャオプラヤー川に沿って伸びる
バンコクの街が見渡せた。
超高層ビルが建ち並ぶ摩天楼、
その谷間に金色の寺院がでん!と構えている。

違和感を覚えるような光景なのに、とても自然で、
洗練されたエキゾチックさと、
時代の波に翻弄されない素朴さが混在していた。
暁の寺に来ると、いつも郷愁を感じるのはなぜだろう?

いつもタイを離れる最後の日に訪れていたせいか、
中国の香りや、ここに流れる緩やかな音楽のせいか、
はたまた、自分の知らないどこかで、
この景色が化学変化を起こして、
物憂げな記憶を呼び覚ましているのだろうか…。

でも、この場所が好きだ。
理由はないけど、理由がないことのほうが
大きな力が働いているようで信じられる。
だから、この場所が好き。

 

日本食が恋しい

さて話は変わるが、タイで一番楽しいのは食事の時間だ。
無限に食べ続けられる胃袋があれば…
本気でそう思ってしまうほど(笑
早くお腹が空かないかな?
いつもそう思いながら時計を眺めている。

最近では和食レストランや寿司屋をよく目にする。
単純に日本人観光客が増えたせいだけではなく、
「日本料理は健康によい」というイメージが
タイにおいても及してきているようだ。

ただ、日本食を求めて店を訪れるのは日本人ではない。
日本とタイ、その距離はあまりにも近過ぎて、
わざわざタイで日本食を食べたいなんて思う人は少ないのだろう。
となればターゲットは欧米人か。
カオサン通りに構えたテントのカウンターで
タイ人が握る寿司を頬張る姿は、
どこか間違った日本文化を伝えているようで偲びなかった…。

ここバンコクでは、
すき焼き、たこ焼き、しゃぶしゃぶがとりわけ人気らしく、
主役の日本人を抜きにして、
タイ人と欧米人が我が国の文化を謳歌しているようだ。
そういえば、新しくなった空港のレストラン街も
日本食で溢れていた。
寿司、そば、うどん、すき焼き、天ぷら、かつ丼…。
長く日本を離れている身には、たまらないメニュー。
幸いなことに1品500円程度なので、
ちょっとだけ無理をすれば手が届く値段だ。

帰りにお金が余ったら…と密かに企んでいる。

 

旅のカケラ/slideshow

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