「ケレタロ」は小さな街。
石畳の道が続くコロニアルな町並みが広がり
街のいたるところに立派な教会がある。
シンボルは水道橋
この街はスペイン人入植者と先住民チチメカ人が
うまく共存してきた地で、
現在は中規模な工業都市として栄えている。
ケレタロの歴史地区は世界遺産に登録されていて
歴史を感じる石造りの家々が建ち並んでいた。
また、街のシンボルでもある水道橋が残されていて
街の真ん中に優美な曲線を描いている。
サンタクルス修道院の裏にある展望台からはその全景が見渡せた。
久々の旧市街歩き。
でも心は弾まない…、
やっぱり豚インフルエンザが心配だから。
正午過ぎに街歩きを切り上げ、次の街に移動することにした。
グアナファトへ移動
■ケレタロ→グアナファト
(所要時間:3.5時間/運賃:99ペソ ※約800円)
マスクをし、コンタクトはやめてメガネに。
こまめにうがい、手洗いをしながらバス移動。
街は全然平和なのに、ホントにウイルスが蔓延してるの?
現実感が湧かなくて、なんだか他人事みたいに思えてきた。
エアコンがないバスだったが
暑い方がウイルスも活発に動けないはずだから、と我慢する。
「グアナファト」に到着し、タクシーで宿に向かった。
ガイドブックには
“童話のような中世の風景”と書かれていたが
嘘偽りのない町並みが姿を現した。
明日は明日の風が吹く
メキシコに数あるコロニアル都市の中で
最も美しいとされるこの街。
カラフルな家々、市街に張り巡らされた地下道、
城郭のような街の構造。
今度は心が弾んだ。
行ったことはないが中世のドイツがこんな感じだろう。
かつて鉱山で栄えた街で、
18世紀には世界の3分の1の銀を産出したそうだ。
午後6時、ずいぶんと日は傾き街はオレンジに染まりつつある。
本格的な街歩きは明日にするが
どうも待ちきれないので下見がてら街をぶらつくことにした。
石畳に響く靴の音が心地いい。
コツコツと、つま先と踵を鳴らしたくなる。
市場を抜け、教会を見上げ、小道を通り抜けた。
期待以上、ここ最近の心配事を忘れ、旅の楽しさを再確認した。
明日は明日の風が吹く。
旅の最後をしっかり楽しんで、
悔いのないように締めくくりたい。
事態が深刻になっていく
よし、と力が込み上げたのも束の間
ネットカフェで驚愕の事実を知った。
「新型インフルエンザ、フェーズ5に…」
画面を見て言葉を失った。
最も恐れていた事態、国境が閉鎖される…!?
それにしても展開が早過ぎはしないか?
先日フェーズ4に上がったばかりなのにもう“5”に…。
豚インフルエンザという名称も新型インフルエンザに変わった。
世界的大流行は否めないのか。
感染者拡大、世界11カ国に、日本でも初の感染者の疑い。
もう、止まれない。
ブレーキが壊れたジェットコースターのように
世界中を巻き込んでバイオハザードが進行している…。
幸い国境閉鎖は今のところ免れている。
だが、「フェーズ6」という最大危機もすぐそこだとか…。
あの忌まわしい9.11テロ以来の
なんとも言えない不安感に蝕まれた。
いったい何が起こっているんだ…?
メキシコ大統領が国民に向けて緊急声明を発表した。
「明日5月1日から5日間の業務停止を命ずる」
これ以上の被害拡大を抑えるため、
混乱を避けるための非常事態宣言だ。
レストランも商店も軒並み閉まってしまうのだろうか?
ここは渦中…
でも、Tomorrow Never Knows
誰か助けて……。
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