悪魔の喉笛と囁き

 

「イグアスの滝」は、
亜熱帯のジャングルに囲まれた巨大な滝で
その大きさは、幅4km、高さ80mにもなる。

 

アルゼンチン側

アルゼンチンとブラジルの国境に面しているため、
滝を近くから見てその迫力を感じたいのならアルゼンチン側、
滝の全景を眺めたいのならブラジル側に行くと良い。

今回はアルゼンチン側からアプローチすることにした。
アルゼンチン側のイグアス国立公園、
小さな列車に乗っての移動が主流(無料)で、
国立公園内にいくつかの駅があり、
それぞれの駅から滝を眺められる遊歩道が伸びている。
滝を上から見たり、滝を下から見たりと、
ほぼ丸一日かけて観光することになる。

プエルト・イグアスの町からバスに乗ること20分、
イグアス国立公園が見えてきた。
イグアスの滝は世界三大瀑布の1つで、
水量は毎秒6万5000トンにもなるという。

 

滝を探しに

つい1ヶ月前には、ザンビアとジンバブエの両国にまたがる
「ビクトリアの滝」を見たばかり。
ここ1ヶ月で二大瀑布を巡ったことになる。
残るは「ナイアガラの滝」かぁ…(遠いな)。

入場料は60ペソ(約1800円)。
まぁ、妥当な料金だろう。
恒例行事のように国際学生証を提示してみたが
答えは「ノー」。意外と使えないねコレ…。

先にも述べたが園内は広い。
滝の音だってまったく聞こえてこなかった。
まずはメインディッシュを目指す。

 

悪魔の喉笛

『ガルガンタ・デ・ディアブロ(悪魔の喉笛)』は、
イグアスの滝は160~260の滝で成り立っていて
その中で最も迫力のある部分がそれだ。
園内を走るミニ列車に乗って悪魔の音を聞きに行く。

列車を降り、川の上に伸びている遊歩道を歩いていくと
視界に水煙が飛び込んできた。
ビクトリアの滝は、ずいぶん遠くからでも轟音が聞こえたが、
イグアスの滝は名前のように上品で、
すぐ近くまで行かなければその音は耳に届かなかった。
大地の裂け目に、水が滑り落ちていく。
ここは最も上流部に位置する馬蹄形の滝で、
水は紅土に彩られ褐色を呈していた。

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下から降る雨

展望台から眺めていると、
その轟音に包まれ、知らず知らずのうちに
滝つぼに吸い込まれそうな感覚に襲われる。
下から降る雨(水しぶき)を避けながら、
水煙で霞がかった神秘的な滝を撮った。

あいにくの曇り空で、滝に架かる虹は現れなかったが
イグアスの迫力とマイナスイオンを全身で感じた。
悪魔と対峙した後は、
遊歩道を彷徨い歩き、大小さまざまな滝を眺めた。
イグアスの滝って、「華厳の滝」に似てる気がした。

喉笛は日本の滝にはない迫力だったが
それ以外の滝は日本の滝に似た情緒があった。
すごい!と言うよりも美しい!
イグアスは気品に溢れていた。

 

ブラジル側?

「ブラジル側も見てみたいなぁ」
ふと心をよぎったこの感情。
もう、1度考え出すと感情は滝のように溢れ、
押しとどめられなくなる。

悪魔の喉笛ならぬ、悪魔の囁きか?
「い、行くか!?」
カレンダーを眺め、頭の中のそろばんを弾く。
うん、日帰りならなんとかなりそうだ。

予定になかった選択肢「ブラジル」、
吉と出るか、凶と出るか…!?

 

旅のカケラ/slideshow

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