時刻はすでに深夜2時45分。もう眠い。
こんな時間に何をしているか?というと、
船を待っている。
ロケットスチーマー
ここバングラデシュには、
「ロケットスチーマー」なる船がある。
ロケットとはさぞかし早いのだろう!?
いやいや、これが歩くスピードと変わらないくらい遅い…。
海ではなく川を行く船だが、川の流れで進んでいる笹舟状態(泣)
ダッカまで向かうのだが、バスで7時間の距離を
こいつは30時間かけて進む。
なぜこんな船に乗るのか?
「とっても珍しい船なのである」
どんな風に?
今どき珍しく「外輪船」で、つい先日までは蒸気船だったという代物。
世界広しと言えども、外輪船なんて
ディズニーランドくらいでしか乗れやしない。
ちなみに料金はファーストクラス1010タカ(約1800円)、
セカンドクラス610タカ(約1100円)、
魔のサードクラス(デッキに雑魚寝…)110タカ(約180円)。
セカンドクラス以上は個室で、すべてツイン。
優雅な船旅を満喫するためにも、2人分の料金を払って
貸切にしたいところ。しかし、セカンドクラスは満室…。
ファーストクラスを貸し切れる余裕は…ない(泣)
ファーストクラス
賭けに出た。
考えてみればここはバングラデシュ。
川辺の小さな村をつなぐための乗り物なのだから
ファーストクラスが埋まるわけがない。
わざわざ2人分払わなくても誰も乗ってこないんじゃないか?
ファーストクラスの1800円といえば
彼らの3日分の給料である。
チケットカウンターではさんざん、「危ないから」と
貸切を勧められたが、
「大丈夫!」の一点張り。
業を煮やしたスタッフ。日めくりカレンダーを一枚ちぎり、
「すべて自己責任で乗船します」という
念書を書くように求められた。
思惑は的中した。
ファーストクラスにいる乗客は7人。
みな裕福そうで、そして紳士である。
もちろん部屋は貸切状態。
固く鍵をかけ、優雅な船旅を手に入れた。
食べても大丈夫?
さて、船旅の様子を書こうと思っていたが、
ある事件が起きた。
深夜3時の出来事。小腹が空いたので
持ち込んだラスクをかじることに。
ザクっ、ん?? なんだ、このツーンとくるこの芳醇な香りは…?
身体が嫌がっている、本能が危険だと叫んでいる。
そう、発酵していた。
いやもっとわかりやすく言うと腐っていた…。
辺見庸氏の『もの喰う人々』を思い出した。
その本によると、ダッカ(バングラの首都)には、
残飯で作った炒飯が屋台に並ぶという。
腐ったラスク…、これもバングラ流の食べ物かもしれない(強引)。
胃袋会議。
空腹と腹痛を天秤にかけてみたところ
「空腹のほうが苦痛だ」という決議がなされた。
食べてよし!
芳醇で、少し刺激の強いラスクを口に放り込み、
解毒用に水とおかかのふりかけを流し込んだ。
そして眠りについた。
朝、お腹は平気だった。
強靭な胃袋に感謝!
早速朝食をと、持ち込んだ食パンの封を開けた。
パンをかじる。
あの感覚が甦ってきた…。
これも腐ってるじゃん!
しかも、パンの耳にはカビ君がはびこっていた。
第二回胃袋会議。
ここでも空腹排除の決議案が採択された。
巧みカビをかわしながら、酸っぱいパンを頬張る。
バターもジャムもないので調度良い、なんて思いながら(泣)
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