ダライ・ラマに会いに

アムリトサルにある「黄金寺院」。
ここには無料の巡礼宿があり、お世話になっている。
各自ロッカーが与えられるので、そこに荷物を詰め込み、
小さなバッグをひとつだけ持ってバスターミナルへ向かった。

 

行き先は「ダラムサラ」

ダライ・ラマが暮らす街である。
1959年にダライ・ラマ14世がインドに亡命し、
チベット政府の拠点であり、
チベット仏教文化の拠点となっている。

ダライ・ラマに従ってチベットを去った
チベット難民の精神的な支えにもなっている場所だ。
チベット本土では失われつつある伝統的な文化や宗教を守る、
チベット人たちの生活を垣間見ることができる。

ヒマラヤ山脈を背にする山間部で、気候は涼しい。
標高は約1800m。
アムリトサルとはうって変わって軽井沢のように涼しいそうだ。
過去の日記にも書いたが、自称“チベタン”フリーク。
だからこの地を訪れずにインドは終われない。

 

ブリキのおもちゃ

エアコンのないバスで8時間、
胸をときめかせながらバスに乗り込んだ。
定刻どおりに走り出したバス。車内は異常なほど暑い…。
窓を全開にして暑さを凌ごうとするが、
容赦なく砂埃と熱風がふりかかる。
これじゃヒーターにあたっているような気分だ。
息苦しさに顔をしかめながら、車窓の景色を眺めた。

日本にいるときは8時間のバスと聞くと、
心が重くなり、後ずさりしたくなったものだ。
シンガポールからここまでバスを100本余り乗り継いだせいか、
8時間は短く感じる。昼寝にちょうどいい長さだ。
インドのバスもブリキのおもちゃみたいで、
全身を軋ませながらガタガタと進む。
長距離バスにも関わらず、途中乗車・下車が可能で、
道端で手を挙げてはたくさんの人が乗り込んでくる。

だから、目的地までに何度も停車し、思うように進まない。
正午に出発したバスは、20時にダラムサラに着いた。

 

癒しのチベット料理

薄暗くてよく見えないが、ヒマラヤを背に街がある。
風が涼しくなった。
バスを降り、マクロード・ガンジと呼ばれる通りに出た。
街明かりがやさしく、まだ人通りも多い。
お坊さんやチベット衣装の人たちもいる。
ここはチベットのバザールといった感じだ。

『スノーライオン』というガイドブックに載っていた店に入り、
チベットのラーメン「トゥクパ」と、
チベットの餃子「モモ」を注文した。
約200円と、インドの食事にしては値が張ったが、
とろけるほど美味しかった。

パキスタンからずっと、
マサーラーの利いたカレーばかり食べていたので
胃が疲れきっていた。

最近じゃあの匂いだけで、胸が重たくなっていた。
だから食事といえば、朝はチャイとチャパティ。
昼は通りのマンゴージュースを2杯(1杯12円)、
夕方に「ターリー」というインドのカレー定食を無理やり詰め込んでいる。
食事が楽しくないと、自然とお腹が減らないから不思議だ…。

明日は3食ともチベット料理にしよう!

チベットは心だけでなく、
お腹にとってもオアシスだった。

 

旅のカケラ/slideshow

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