「香格里拉(シャングリラ)」
かつては中旬(ギェルタン)という地名だったが、
英国作家、ジェームス・ヒルトンの
『失われた地平線』に出てくる舞台に酷似することから、
近年“シャングリラ”と改名された。
理想郷の青い空
今、その理想郷にいる。
荷物と友人を「麗江」の宿に預け、
少しでもチベットに近づきたい、
そんな思いを胸にやってきた。
標高3500m、日本でいえば富士山の何合目だろう?
バスに酔ったのか、体調が思わしくないのか、
それとも軽い高山病か…。
とにかく気分がすぐれない。
空はこれでもか!ってくらい青く澄んでるのに…もう。
いや、原因はやっぱりあのバスだ!
「席を替わってほしいんだけど…」
そう声をかけてきたのはパンク風の中国人。
せっかくの窓際だったが、快く承諾した。
これが悪夢のはじまり…。
バスが跳ねる!
最後尾の中央席(通路上)は、
生き地獄シートだった。
ドカっ!!
バスが跳ねる。
わぁっ! きゃ!
悲鳴とともに乗客も跳ねる。
なんだよ、この道。
ヘアピンカーブにジャンプ台がついてるよ!
背もたれやバスの天井に
手をついて身体を支えていないと
座席から振り落とされてしまう。
あいにく前は通路なので、足をつっかえ棒がわりにはできない。
両手で背もたれをつかみ、つま先を床につけてふんばった。
青の濃さが違う
そんな道を5時間。
ロデオバスに揺られ、三半規管は麻痺…。
必死に奥歯を食いしばって
吐き気と振動に耐えた。
フラフラになりながらバスを降り、
青の濃さが違う
シャングリラの空を仰いだ。
あぁ、青いよー!!
きっと鏡を見たら、顔色もこんな感じだったのかも。
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