アジアの流儀

朝7時、目が覚めると、
もう暑さは始まっていた。
水シャワーで身体を冷やし、
うちわで髪を乾かせば、今日がはじまる。

ここアユタヤでもう1泊することを宿のおじさんに告げると、
ハンモックに揺られながら、
片目を開けて「OK」と指でサインを返した。
ついでに自転車も借り、
昨日よりもっと遠くを目指すことに。

 

あぁ、生きてる!

地図を片手に、アジアの朝を駆け抜ける。
この国の歩道は屋台で埋まっているので、
5車線もある道路を、排気ガスとクラクションを浴びながら
ひたすらペダルを漕いだ。

坂を上り、大きな橋を渡る。
どこまでも続く広大な景色の中で
アジアのソウルを全身で受け止める。
「あぁ、生きてる!」
もう叫ばずにはいられない。

 

小さな花

道端でバナナをひと房買い、
ちょうどいい木陰を見つけてそいつを頬張る。
誰もいないガランとした遺跡を見つめ、
いにしえの香りを静かに感じてみた。
ふいに、ひとりの少女が近づいてきた。
こんな誰も来ない遺跡の前で、
お供えの花を売っているようだ。

隣にちょこんと座ると、
手にした花をくるくる回しながら、
こちらの様子を伺っている。
「食べる?」と、バナナを差し出すと、
嬉しそうに2本ちぎり母親の元へと駆けていった。

アジアのスローな時間の中で、
確実に今を生きている人々。
少しずつアジアの流儀がわかってきた気がする。

旅のカケラ/slideshow

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