底が見えない…。

どこを走っているのか、
どこに向かっているのか?

 

ずっと揺られて

チリからウユニを抜けるという情報だけで参加したこのツアー。
四駆に揺られ、絶景を楽しみ、
食事も宿もすべて用意されている。
あぁ楽チン。
しかも車内はスペイン語だから、
何度も何度も眠りこけて窓に頭をぶつけた…。

でもね、旅も人生もすべてが用意されてしまうと
それはそれでつまらなくなる…。
なーんてことを考えていたからか、タイヤがパンクし
グランドキャニオンのような渓谷で立ち往生…。
タイミング良すぎでしょ(苦笑

 

 

乾いた大地、風の唸り

ガイド(兼ドライバー)がタイヤを交換している間に
周囲の散策に出かけた。
岩をよじ登ると、息を飲むような景色が飛び出した。
自然の造形美ってスゴイ。
乾いた大地を踏みしめ、風の唸りを聞きながら
遠くを見つめた。

 

もし、タイヤがパンクしなければ
目にすることがなかったこの景色。
トラブルにもきっと意味があるんだな。
ずっと頭から離れなかったパソコンのこと、
いいや、この試練を楽しんでやろう。
紙とペンがあれば文章は書けるし、
今はこの景色と時間を大切にしたい。

 

手が届きそうな空

久しぶりに村が現れた。
看板には「Mallku Villa Mar」
と書かれている。ここで昼食を摂ることに。
メニューは、パッサパサのライスにスープ、
そしてサラダだ。毎回コーラが振舞われるのは嬉しい。
粗食だけど、人一倍食べて、陽だまりの中で温かい紅茶をすすった。

食後はデザートの代わりにトラブルが用意されていた。
「車が壊れたので、今、代車を呼んでいる」
ツアーに同乗している欧米人に英語で通訳してもらったところ
代わりの車が来るのは3時間後で、
今夜の宿まではまだ相当な距離を残しているそうだ。

時計の針は午後2時、
退屈だと思っていたからバチが当たったのだろうか?
プラスへと思考をシフトチェンジしよう。
この長閑な村を散策できるじゃん♪

小さな小さな村で、とても静かだった。
日干しレンガの素朴な塀に囲まれた家々。
軒先の木陰で空を見つめる老人。
学校帰りの子供たち。
どこまでも広い空がすぐ手の届くところにあった。
言葉にできないけど、なんかいいんだよね、この感じ。

村がオレンジに染まる寸前に新しい車と、
新しいガイドが到着した。
急いで荷物を車に積み込み、村を後にした。
前のガイドからの連絡が徹底されていなかったのか、
ガイドは行き先の宿を聞いて青ざめていた。

「い、今から!?ものすごく遠いよ…」

 

バモス、バモス

でもそこに行ってもらわないと明日のウユニ塩湖が…。
がんばって運ちゃん!バモス、バモス(さあ、行こう!)
時速20km、自転車並みの速度で悪路を進む。
激しく揺れる車内、そしてパンクした…。
ガイドが西日に照らされシルエットになりながら
タイヤを交換する。
目の前に広がる草原からのん気なリャマの鳴声がした。

やがて夜が来た。
無言の車内、道なき道を車は進む。
周囲はすっかり闇に包まれ、
どこを走っているのか前も見えない。
この、底が見えない、ツキの無さはいつまでつづく!?

プラスへと思考のチェンジ、、、
ダメだ、負のスパイラルから抜け出す自信がない…。

 

旅のカケラ/slideshow

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です