バングラデシュの2日目、「クルナ」という街にいる。
初日からアイドル級の歓迎に、すっかり気分を良くし、
インドでできた心のささくれも治りつつある。
バングラの旅、はじまる
バングラデシュは世界最貧国とも言われていて、
その物価は驚くほど安い。
10円あれば、リキシャで2キロ移動できるし、
50円あれば、カレーがお腹一杯食べられる。
100円あれば、バスで100キロ移動できるし、
200円あれば、ホテルのシングルルームに泊まれちゃう♪
「今日は豪遊したな…」と思っても、
なんてことはない!1日の出費は1000円に満たないのだ。
さて、今日は2つの世界遺産へ向かおう。
まずは「バゲルハット」である。
バングラデシュは、1000を超える「川の国」なので、
ボートが日常的に利用されている。
未だに橋の架かっていない川も多く、ボートで対岸に渡ってから
バスに乗ると驚くほどショートカットできたりする。
バゲルハットもそう。
ボートは1回2タカ(約4円)。
こいつでクルナの対岸にある街「ルプシャ」へ渡る。
そこからローカルバスで約1時間。あっという間に着いた。
バゲルハット
バゲルハットは、たくさんのモスジット(モスク)があり、
15世紀にカーン・ジャハン・アリが築いた建築群で有名。
中でも「シェイト・ゴンブス・モスジット」が世界遺産に登録されている。
シェイトとは、ベンガル語で60の意味。
ドーム状の屋根が60あることからこの名前が付けられた。
ムスリム(イスラム教)の人たちは好きだが、
偶像崇拝ではないため、モスクに入ってもイマイチ楽しめない。
「へぇ」と、腹からカンシンを搾り出し、
世界遺産、セカイイサンと唱えながら見学した。
昼食はローカルな店でカレー。
バングラに入ってからというもの、食事がオールカレーだ…。
だってメニューがないし、これが一番無難なんだよね(泣)
現地の人にならって手でアツアツのカレーをつかみ、
「生きてるぜ」と呟きながらワイルドに頬張る。
それにしても今日もたくさんの人が集まってくる。
下手っぴにカレーを食べる姿を見つめる熱視線…。
カメラに勝手にフレームインしてくる子どもたち…。
大名行列のように後を着いて来るオジサン軍団…。
逃げるようにバスに駆け込み、
次なる目的地「モングラ」を目指した。
シュンドルボン
モングラを起点に、世界最大のデルタ地帯
「シュンドルボン」が広がっている。
この美しい森は、数百万年前からガンジス川やプラマプトラ川が
運んできた多量の土砂の堆積地であり、
潮の流れとともに常に新たな景観が形成されているのだ。
ここも世界遺産に登録されている場所である。
ベンガルタイガーが生息するポイントまでは1日がかりだと言われた。
そんな時間は当然ないので、
遠巻きにマングローブを見て我慢することにした。
ボートに乗り、美しい緑を眺める。
「黄金のベンガル」と謳われるバングラデシュ。
今まで数々の絶景を見てきたが、
どんな景色よりも心に染み渡るノスタルジーを感じた。
黄金のベンガル
帰りのバス。
車窓からは小金色に輝く水田や川が見えた。
バングラデシュという懐に抱かれ、とても心地いい。
なんだろう、この感じ?
たしかに貧しい国だけど、
物乞いも少なく、料金をボラれることもない。
きっと貧富の差が少ないから、人々は穏やかで優しいのだろう。
格差社会。それは人の心を渇かせ、優しさを奪う。
「勝ち抜く」という言葉よりも
「出し抜く」という言葉がピンとくるようになったら危険信号だ。
発展とは何か、豊かさとは何か?
黄金のベンガルを眺めながら、少しだけ考えてみた。
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