真夜中に突然肩を叩かれた。
「着いたぞ、デリーだ」
目を開けると、ちょび髭のインド人が立っていた。
もう!?
眠い目を擦りながら腕時計に目をやると
針は午前2時を指していた。
ついにデリーに足を踏み入れる
ここはインドのデリー。
インドの中でも、もっとも足元をすくわれる洗礼の地。
そんな場所に夜中に降り立つなんて
狼の群れに飛び込むようなものではないだろうか…。
とにかく荷物をバスの屋根から降ろし、出口へと向かった。
ムっとする暑さと、床に寝転がる人、人、人…。
今さらながらに、インドを実感した。
ゲートを出て2歩、すぐに真っ黒なインド人に取り囲まれた!
$%&‘$%&’%&‘
各々、好き放題言って手をひっぱり、荷物を持とうとする。
ストップ!!
「I don’t need your help!」
と叫びながらバスターミナルへと戻った。
こりゃあ外には出られないや…。
仕方がないのでチャイ屋で夜を明かすことにし、
3杯のチャイを5時間かけて、ちびちびと飲んだ。
インド、本領発揮
午前7時、すっかり外は明るくなり、
通勤ラッシュで街は混雑し始めている。
ガイドブックを手にしていると
蜜に群がるアリのように彼らが擦り寄ってくるので、
街の地図を頭に叩き込み、地下鉄へと直行した。
デリーには地下鉄(メトロ)が走っているが、
料金が高いため(高いといっても日本円で20円のレベルだが)、
利用客は少ない。乗り降りも簡単で、
スムーズにニューデリー駅まで行くことができた。
ニューデリーの駅から「パハールガンジ」という、
アジア有数の安宿街へ向かったのだが、
ここの客引きは相当にしつこかった。
そっちは車専用だ。
今日は工事中だ。
様々な嘘をついて自分のオフィス(旅行代理店)へ連れ込もうとする。
最初は信じてついていってしまったが、
オフィスの看板を目の当たりにして、「このウソつき!」と、
睨みを利かせて腕を振り払った。
(あぁ、だんだん擦れていく自分が悲しい…)
デリーの客引きは悪質なので、
これくらい気を張っているのがちょうどいいようだ。
毅然とした態度で「NO!」といえば、彼らは意外とひるむもの。
こいつは無理だ、とあきらめも早くなった。
デリーに来た目的
薄暗い宿、じめっとしたシーツ、オカマ(?)なスタッフ。
すぐに「ハッパ(麻薬)」をすすめてくるし、
やっぱり都会は苦手だ。
早いところデリーを離れよう。
(でも、この宿で食べた「オクラ丼」は格別な旨さだった!)
ここデリーに来た目的は1つ。
イエメンのビザを取りたいからだ。
早速イエメン大使館へ足を運んでみると、
意外とスムーズに取れそうなことがわかった。
今日は必要書類を揃えていなかったので
明日、もう1度出直して、デリーとおさらばしよう。
ほんの数日前までは、ラダックやダラムサラで
優しいインドを満喫していたのに、
インドの闘いがいよいよ始まったか…。
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