人生で一番濃い時間を過ごした2008年が
まもなく終わろうとしている。
カオサン通りには人が溢れ、
おそらくタイ語だろう言葉で、
カウントダウンの大合唱。
腕時計をチラ見しながら、
ホテルのテラスから歓喜の瞬間を眺めていた。
今日は大晦日
昨夜は同部屋の若者(名前を聞き忘れた…)に、
「あれ、日本人?」と尋ねられ、
そうだよ、と答えるや否や、
怒涛の愚痴を聞かされる羽目になった。
彼は23歳。日本が嫌だ!とギター片手に飛び出し、
インドを経てここバンコク(タイ)へ。
が、タイは水が合わないらしく、
「タイ人、ホンっト何考えてるかわかんねぇ…。
俺、もうタイから早く脱出したいよ」
と、ぼやいていた。
ハハハ、それじゃあ“タイ人恐怖症”だね!?
なーんて茶化しながら、
幾度となく繰り返される話に耳を傾けた。
彼に解放されたのは午前4時だった…。
5時間ほど眠っただろうか?
2段ベッドが6つ並ぶだけの薄暗い部屋を後にし、
ホテル探しに出かけた。
いや、彼が嫌で宿を移る訳ではなく、
今日は大晦日!
年越しはスペシャルに行きたい、それが理由。
1泊100バーツ(約250円)の宿から
950バーツ(約2400円)の宿へとランクアップした。
財布の紐を緩めて
レセプションで料金表を一見し、迷わず
「このスペシャルダブルで」と指差した。
ファミリールームを除けばここで一番高い部屋だ。
吉牛で言えば特盛を、
寿司屋なら「お任せで」と注文するのと同じ気分。
あぁ気持ちいい♪
スペシャルダブルの部屋はこのホテルにたった2部屋で、
最上階にあった。
部屋には20畳ほどのテラスが付いていて
カオサン通りが見渡せた。
さらに、階段を昇るとそこは屋上で、
キレイなプールが!!
美味しいタイの屋台に出かけ、
あれ、これ、それ、どれ?
と、おかずを指をさし、
テーブルいっぱいにお皿を並べた。
もう、旨いのなんのって!
それでいて1品60円ほどだから
値段なんていちいち確認しなかったさ。
普段、あれほどストイックに生活を送っていたのが嘘のよう、
減量が終わったボクサーのように
胃袋を精一杯広げて詰め込んだ。
A HAPPY NEW YEAR
23時30分、夜風が気持ちいい。
コーラ片手にテラスからカオサン通りを眺めた。
通りの中央、このホテルの真下にメインステージが組まれ、
民族舞踊やタイROCKのライブが繰り広げられている。
そして、いったいどこから…?と言わんばかりの人だかり。
世界中のバックパッカーが今、この聖地に集まっている。
#$%&’()’&%$#%&’()
ステージではタイ語(?)のカウントダウンが始まった。
さよなら2008年、
特別な瞬間を、特別な場所で迎えようとしている。
だんだんと掛け声が大きくなり、
腕時計にチラチラ視線を送りながら
高鳴る鼓動を噛み締めた。
「A HAPPY NEW YEAR!!!!」
スピーカーから歓喜の音楽が流れ、
人々が雄たけびをあげた!
風船が舞い、紙吹雪が夜空を散らかし、
無数の花火が新しい年のはじまりを告げた。
新しい年を迎えたといっても、
カレンダーや日記帳を1ページめくっただけだし、
昨日が今日に変わっただけなのに、
そんな些細な変化が感動を生み、気持ちを昂らせる。
よし!と、胸の内で拳を握る自分。
この旅への決意を新たにした。
何がが終わる瞬間と、何かが始まる瞬間。
それはいつもつながっている。
昨日―今日―明日。
過去―現在―未来。
言わば天秤やシーソーみたいで、
今日とか現在を軸にして、
昨日と過去、明日と未来が揺れているのだろう。
上手くバランスを取ってやるのが人生ってやつで、
軸がぶれればガッシャーン、転げてしまう…。
何かを捨てるのではなく、何かに固執するのではなく、
そのまま、そのまま。
両手を広げて、バランスを取りながら歩いていこう。
昨日と明日のちょうど真ん中を。
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