ハルタビ’17(バルト3国編) #8 Never Ending World

ウジュピスからヴィリニュスに戻り、
再び旧市街を散策する。

バルトの旅もまもなくラストシーンを迎える。

 

ヴィリニュスの春

ヴィリニュス旧市街は、
他のバルトの国々よりも緑が豊かだった。
いま、季節は春先で
花が咲き、木々は緑が芽吹きはじめた頃。
そよ風が心地よく、日差しも優しい。

広い公園を歩いていると春を謳歌するように、
すれ違う人たちの表情も明るい。
こんな場所で暮らし、こんな時間を過ごせたら
きっと幸せだろう。

この旅とは真逆で、
ゆっくりと流れる時間が羨ましかった。

ゲディミナス城の丘に登った。
14世紀、ヴィリニュスに遷都した際に築かれた城で、
帝政ロシアによりその大部分が破壊され、
現在は監視塔として使われていた
ゲディミナス塔のみが残っている。

頂上からは新市街と旧市街が一望でき、
その眺めは圧巻だった。
いろいろな形の教会があり、
それを目印に、歩いてきた道を辿ってみた。

 

夜明けの門とハレス市場

タリン(エストニア)、リガ(ラトビア)、
ヴィリニュス(リトアニア)と、
3つの旧市街を散策し、
それぞれに違った中世の雰囲気を満喫した。
いつまでもこの景色が残ってほしいと思うが、
自国の発展とともに
確実に失われていく景色なのだろう。

旧市庁舎広場抜け、旧市街を進んでいくと、
一番突きあたりに夜明けの門(アウシュロス・ヴァルタイ)が見えてくる。
この門は中世にいくつかあった旧市街の門のうち唯一残っている門で、
今も礼拝堂が残されている。

夜明けの門を抜けると、大きな通りにぶつかった。
残された時間はあとわずか。
もっと街に溶け込もうと、ハレス市場を訪れた。

時間が遅かったからか、
半数が店じまいをしていた。
野菜や花、チーズやソーセージ、
魚介類が並んでいる。
こういう庶民の台所を見ていると
この街の住人になったようでわくわくする。

ハーブの店で買い物をしていると、
すごい勢いで女性店員が店を飛び出した。
何事かと思ったら、
すぐに女性を捕まえて店に戻り、
内側から鍵をかけて出られなくした。
万引き犯だった。

体格のよい万引き犯を、
ものすごい剣幕で問い詰める女性店員。
その迫力に押されてか、
盗んだ商品を鞄から出して観念した。

まぁ、出るわ出るわ。
よくぞこれだけ盗もうとしたものだ。

こちらを気にして、
申し訳なさそうに苦笑いする女性店員。
じゃあ、少ししたらもう一度来るから、
と、商品をレジで預かってもらうことにした。

小腹が空いたので、ソーセージを売る店に。
若い男性がふたり、旨そうに
ソーセージを食べていた。

「同じものを食べたい」と告げると、
ソーセージを焼いて出してくれた。

 

街角のメロディと最後の夜

夜、荷物をまとめたあと、カフェで過ごした。
21時、遅い夕暮れどき。
少し肌寒くなり、ちらほらとネオンが灯りはじめた。

通りは相変わらず賑やかで、街角にはバイオリンや
アコーディオンを奏でる
ストリートミュージシャンがいた。

その音色を聴きながら
窓越しに最後の夜を眺めていた。

やり遂げた達成感と、終わってしまう喪失感。
いろいろな感情が入り交ざりながら、
1つの物語の終わりを噛みしめた。

 

旅のカケラ/slideshow

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