アキタビ’10(フィリピン編)#4 虹の彼方へ

午前8時。今日も快晴。
流しのトライシクルをつかまえて
「バナウェ・ビューポイント」に向かった。

バナウェからボントック方面に約4km、
急勾配を駆け上げっていく。
ここから見るライステラスは絶景だと、
ガイドブックに書かれていたので
これは行くしかないでしょ。

 

再びの「天国への階段」

朝の澄んだ空気に気分をよくしながら
トライシクルに揺られること20分、
目の前には「天国への階段」が広がった。

棚田の高さは約1500m。
これを端から端まで平らに延ばすと
地球を半周する長さだとか。
イフガオ族と自然が造り出した神秘の風景。

イフガオとは「地上の人間」を意味し
昔から萱葺きの高床式住居に住み
臼と杵で赤米を脱穀する
伝統的な生活を続けている。
バナウェ・ビューポイントには
そんなイフガオ族の人々と出会うことができる。

 

ボントック

さて、天国への階段を見たあとは移動。
今日は「ボントック」に向かう。

宿に預けていた荷物を受け取り
ボントック行きのバスを探していると
「ボントック、ボントック」と
手招きする男性を見つけた。
グッドタイミング!
今まさに出発しようとしているジプニーだ。

ジプニーとはフィリピンを代表する乗り物で
かつて米軍が使っていたジープを
乗合バスに改造したもの。
派手な塗装と厳つい顔でして走っている。

■バナウェ→ボントック 所要時間3h/150ペソ(約300円)

窓越しに「天国への階段」を見ながら
その先、虹の彼方を目指した。
この旅もそろそろ折り返し地点を迎えている。

 

太陽と砂埃

ボントックは暑かった。
トライシクルやジプニーの騒音に包まれ
町は人で溢れている。
照りつける太陽と砂埃。
アジアの喧騒と混沌になんだかワクワクしてきた。

宿は目星を付けておいた「Churya-A」。
ホットシャワー付きのシングルで400ペソ(約800円)。
水シャワーなら半額だったがちょっと奮発。
荷物を置くとすぐに「Cable Café」へ向かった。

ここはマニラ⇔ボントックの長距離バスを扱う会社で
マニラ行きのチケットを予約した。
本当はボントックに2泊して
「マリコン・ライステラス」を見に行く予定だったが
この町のカオスが魅力的だったので
町歩きに専念することにした。
相変わらず移動が大好きなので
じっとできない、そんな気持ちもどこかにあった。

市場を覗き、隅にある暗い食堂で昼食を摂る。
もちろんメニューはないので
鍋を1つずつ空けて中身を確かめながら
指差し注文した。

フィリピンの食事はおかずを一皿頼むと
すり潰されたようなライスと塩辛いスープが付いてくる。
だいたい何を頼んでも50ペソ(約100円)。
味はちょっと甘酸っぱさが混じっているが
ボリューム満点で申し分なし。
おかずは牛肉(たぶん水牛)、豚肉、鶏肉、
魚(たぶんナマズ)の中から選べて
豚肉が一番好みの味だった。

食後は「ハロハロ」に挑戦。
日本でもミニストップで人気の氷菓で
カキ氷の上にアイスクリームやナタデココ、
小豆や木の実が盛り付けられている。
ここで食べたハロハロはなぜかニンジンがのっていて
ちょっと不思議な味だった。
ちばみにお値段は40ペソ(約80円)。

 

茜空と長く伸びた影

旅の楽しみは絶景や美食だけではない。
町歩きこそ、1番と言っていいほど心が踊る。
小さな町をあてもなく彷徨い
ほんのしばしここの住人になった気分に浸る。

迷路のような細い路地を抜け
高台を目指して町を見下ろす。
子供たちにカメラを向ければ
ハニカミながらもポーズを取る。
撮った写真を見せ、キャハハと一緒に笑う。
いいなぁ、このやさしい時間。

しだいに陽は傾き、茜空と長く伸びた影が
ひとりぼっちの淋しさを誘った。

次にこうしてあてもなく旅できるはいつだろう?
そう思うとこの瞬間は
ホントにかけがえのない時間だ。
ぎゅっと捕まえておきたいけど
するりと手のひらからこぼれてしまう儚さ。
だからこそいいんだろう。

「旅には未練が必要」とずっと前の旅日記で書いた。
未練があるからこそ、また次に訪れる理由になる。
今はう~んと後ろ髪を引かれておいて
う~んと日本で疲れたらまた来よう。
このゆるい空気で思いっきり深呼吸しに。

旅のカケラ/slideshow

 

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