ハルタビ ’16(ペルシャ編) ♯6 青春時代

 

(#5のつづき)

悪い予感は口にしないほうがいい。
その通りになるから…。

あきらかにテンションが下がったドライバー。
急にランチをしようと、川沿いに車を停め、
トランクからナンとチーズ、チャイを運びはじめた。
いやいや、訳がわからないまま従えない。

「サルアガセイエッドは?」

いつ着くのかを聞いてみた。
すると、返ってきた答えはこうだった。

「プロブレム、プロブレーム」

途中の道が崩れていて、車は通行できない。
警察も危険だからやめておけと言っている。
だから、景色のいい場所に行こう!

ショックだった…。

一番楽しみにしていた場所なのに…。
でも、旅ではよくあること。
いろんなものを飲み込みながら前に進むしかない。

「旅は少しの未練を残しておいた方がいい。
次に来る理由になるから」
7年前の日記に書いた言葉をつぶやき、気を取り直した。

 

「行けるところまで行きたい!」
そう告げると、ドライバーは寂しげに
準備していたランチを片付け出した。

車に乗り込み、再びサルアガセイエッドを目指す。
やがて道は未舗装になり、落石のあとも目立つ。
しかし景色は絶景!
しだいに気持ちも晴れてきた。
景色の良い場所で停めてもらった。

「ランチを食べるかい?」

ドライバーの問いに笑顔で頷く。
すると嬉しそうにランチを作ってくれた。
おせっかいで、優しいドライバーだ。

民家があった。ここに寄りたいと告げると
車を停めて、交渉に行ってくれた。

OK!

目的の集落であるサルアガセイエッドには
見劣りするが、それっぽい造りの家だった。

「屋根にのぼっていいか聞いてよ」

 

きっと、おかしなことを言う日本人だ、
と思っているだろう。
いきなりひとの家に来て、
屋根に上らせろ、だものw

 

サルアガセイエッドは屋根が道になっている。
そんな気分をほんの少しだけ味わえた。
意外と柔らかくて、
床(屋根)が抜けたらどうしようと、
そろりと歩いた。

 

ここがこの旅の果てだった。
いつの日にかまた、
この続きの道を進んでみたい。

帰り道、ドライバーは上機嫌だった。
爆音のイランミュージック、
指をパチン、パチンとリズムをとる。
うとうとしてると、揺り起こされ、
「なぜ日本人は踊らない?」と笑っている。

 

ピクニック中の家族を見つけては
その輪に加わり、「さぁ、一緒に食べよう!」
と相変わらず仕切りだす始末…。
もちろん、彼らのごはんを。

 

それでもイランの人たちは優しく招き入れてくれて、
チキンやチャイを振るまってくれた。
サルアガセイエッドには行けなかったが、
心もお腹もすっかり満たされた。

旅にトラブルはつきもの。
イランの人たちのように寛容な心でいられれば
きっと幸せな旅がつづくと思う。

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