フユタビ ’15(コーカサス編) ♯09 進化論

 

こうしてまた異国で迎える新しい年。
かれこれ7年間も異国での年越しが続いているので
もう特別ではなくなっている。

2016年はどんな景色が待っているのだろう。

 

1週間で4ヶ国を巡ったこの旅も
まもなく終わりを迎える。毎日が感動の連続で、
言葉が通じなくとも不便さはなかった。
予定どおりにいかないことばかりだったけど、
おかげでそれ以上の刺激に出会えた。

 

アルメニアの首都エレバン。
昨日お世話になったタクシードライバーの
セドラックと今日も出かける。
気温-18℃、深々と雪が降る街は
元日ということもあって車がほとんど走っていない。
店も閉まっていて、ちょっとした廃虚だ。

 

はじめに訪れたのはエチミアジン大聖堂。
アルメニア使徒教会の総本山で、
世界最古の教会だとか。
ちなみに宝物庫には
エヴァンゲリオンでも登場する
ロンギヌスの槍が飾られていた。

 

教会では荘厳な雰囲気でミサが行われていた。
昨年はスリランカの仏歯寺で、今年はここ。
なんとも贅沢な初詣である。

賛美歌が心にしみて、
ひとり旅の寂しさに拍車がかかった。
気がつけば30代最後の旅で、
こうやっていつまでも
漂っていてはいられないんだろうな、
と、儚さも痛感している。

この巡礼の旅は新しい境地へと向かう
きっかけなのかもしれない。

 

降りしきる雪の中、夢中で写真を撮り
何度もため息をもらした。
歴史のことはよくわからないが
すごい場所にいることはじんじん伝わる。
しかしひどい雪だ。

 

次に向かう予定だったガルニ神殿とゲガルド修道院は
山深い場所なので無理だと判断し、
ドライバーのアドバイスで
セヴァン湖に向かうことにした。

ここで試練が待っていた。
セヴァン湖は雪でまったく見えず、
半島に建つ修道院を目指した。

 

標高2000m近いため、
気温がさらに下がっている。
そして修道院までは雪山登山となった。

セドラックは気をつけて行っておいで
と、笑っている。
風が強い。

これ、アカンやつじゃね!?
というくらいすぐ近くに死を意識した。
時間にしたらおそらく15分くらいの道のりだったが、
手袋なし、足元はスニーカー(雪で膝まで埋まる)、
容赦なく吹きつける風に耳が持っていかれそうだ。
体感気温は-20℃を切ってるのだろう…。

これ、絶対アカンやつだよ…。

指先が痺れてきた。
ひたすら手を動かし、
壊死しないでくれと祈った。

 

そして辿りついた修道院は、
声が出るくらい感動的な景色だった。

「生きてて良かった(泣)」
ほとんど感覚のない指でシャッターを切った。

 

セドラックは最後まで優しかった。
12時間のドライブを終えると自宅に招いてくれて、
家族とともにご馳走を振舞ってくれた。
懐かしのウルルン滞在記みたいw

 

 

アルメニアの家庭料理がわんさか出てきて、
もう全然食べきれやしない…。
食後はフルーツやスイーツがどっさり。
映画に出てくる光景だよ、これはw

お土産に大量のドライフルーツをくれた。
全部手作りだそうだ。
見知らぬ日本人が突然、
しかも元日にお邪魔したにもかかわらず、
名残惜しそうに見送ってくれて
なんだか胸がしめつけられた。

あー、日本に帰りたくなったよ…。

「明日は何時の飛行機だい?」
空港まで送ってもらう約束を交わし
おやすみを言って別れた。

厳しい冬とは対象的に
どこまでも優しくて温かい国だ。

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