城の崎にて その2

18時に夕食を食べたので、
まだまだ夜は長そうだ。

 

外湯めぐり、そぞろ歩き

 

城崎温泉といえば外湯めぐり。
旅館の中にあるお風呂のことを「内湯」、
外にある共同浴場のことを「外湯」と言う。
7つの外湯があり、これを巡るのが城崎の流儀である。

 

パスポートを首から下げ、籠バックを持って外に出た。
浴衣に、下駄。カランコロン、カランコロン、
小気味いい音が静かな温泉街に響く。
川沿いは灯篭のような明かりが灯っていて、
ゆらゆらと柳の影が揺れた。

この身体の芯まで冷えるような寒さが
外湯を巡る最高の演出だ。

さて、7つある外湯。どこに行こうか?
7つの温泉は源泉が発見された時期も、
趣も特色も全く異なり、近接した場所に
趣向の違う大浴場があるというのは大変珍しいそうだ。

 

天下の湯

その中からまず選んだのは
天下一と推奨された「一の湯」。
江戸中期からある温泉で、
当時は新湯(あらゆ)という名前だった。
江戸時代の名医・香川修徳が書いた「一本堂薬選」の中で、
‟城崎新湯は天下一”と述べたことが由来で
一の湯に改名することとなった。

岩をくり貫いて造られている洞窟温泉で、
お湯はとても熱かった。
露天風呂もあり、粉雪と湯気が混じり合った
風情あるお湯が楽しめた。

つづけて「地蔵湯」へと向かった。
一の湯から歩くこと5分、
大きな灯篭と地蔵が目印。

ここも江戸時代から続く歴史ある温泉で、
当時、多くの村民が入浴していたことから
“里人の外湯”と呼ばれていた。
この泉源から地蔵尊が出たので
「地蔵湯」とい名前がついたそうだ。
2軒目ということで、10分くらいが限界だった。

外に出ると夜風が冷たかったが、
身体の芯から温まったのでとても気持ちがよかった。

 

御所の湯

 

翌朝、6時に目覚ましをかけ、
まだ薄暗い中、宿の外に出た。
人が歩いていないので道の雪化粧がキレイだ。
空気がとびきり新鮮で、なんだか早起きして得した気分。

カランコロン、下駄を鳴らしながら温泉を目指した。

向かったのは「御所の湯」。
少し早かったようで、まだ営業前だった。
かじかむ手に息を吹きかけながら待った。

ここは南北朝時代の歴史物語「増鏡」に、
後堀河天皇の御姉安嘉門院が入湯された記事があることから
「御所の湯」と名付けられた。
建物も趣があり、水墨画のような裏山の借景も見事だった。

一番に中に入り、一番湯を堪能した。
その日の最初の客には「一番札」というものがもらえるそうだが
コロナ禍のためかもらえなかった。
ただ、滝のある露天風呂が立派で、
この空間を独り占めできたことはなにより幸せだった。

30分ほど朝風呂を楽しみ、
再び下駄を鳴らしながら宿に戻る。
今日はこれから仕事だけど、
気分はとても良く、このあとの朝食も楽しみだ。

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