城の崎にて その1

志賀直哉の作品にある『城の崎にて』。
中学の教科書で読んだ作品で、いまでも微かに覚えている。

 

おひとり様応援プラン

仕事で兵庫県の豊岡市に行くことになり、
地図を見てみると、城崎温泉や出石があるエリアだった。
せっかくだから城崎温泉に泊まろうか。

ちょうどカニのシーズンで、
この時期の城崎温泉は高くて混んでいるのだが、
あいにくの緊急事態宣言下。
観光需要が大打撃を受けているというニュースも見た。
楽天トラベルで宿を探してみると
どこも空いていて、しかも安い。
その中から‟おひとり様応援プラン“を打ち出していた
「川口屋本館」を予約した。

新幹線と在来線で計6時間、城崎温泉は遠かった。

 

開湯1300年の歴史

豊岡から2駅、城崎温泉駅に降り立った。
粉雪が舞い、寒い。
道智上人が城崎温泉を開湯してから1300年ということで
のぼり旗が立っていた。

大谿川の柳並木と太鼓橋、
川の両側には温泉宿が連なり、
なんて情緒がある景色だろう。
寒さで震えながらカメラを構えた。
かの志賀直哉も愛した景色、
うっすら覚えている『城の崎にて』を思い出してみた。

宿に荷物を置き、夕食まで少し時間があったので
温泉街を散歩することにした。
今日は日曜日だというのに観光客はまばらで、
かきいれどきにこれは可哀そう。
シャッターを下ろしている店舗も多かった。

ぐるりと一周した後、
とてもいい雰囲気の純喫茶を見つけたので
ここで寛ぐことにした。

 

コーヒーショップ ノバ

レンガ作りっぽい佇まいのいい感じの喫茶店。
店内に入ると、心地いいジャズと
そして温かみのある空気。これはアタリだ。
窓際の席に座り、店内を見渡すとますます好みの空間だった。

ときおりコボコボと、サイフォンが鳴く。
静かなジャズ。心地いい。
小さめのナイフとフォークでホットケーキを切り、
じんわりと甘さが身体をめぐる。

ああ、いい時間だ。

夕食の時間まで1時間ほど読書をし、
静かな城崎温泉の夕暮れどきを過ごした。
慌ただしく観光をするのも好きだが、
こうやって過ごす時間はなんて贅沢だろうと思う。

夕食もアタリだった。
懐石弁当が用意され、カニや刺身、
天ぷら、茶わん蒸しと豪華ラインナップ!
温泉旅館で、1泊2食付きで9000円。
しかも外湯めぐりのパスポートももらえたし、
これはお得すぎる!
おひとり様応援プラン万歳だ。

食事処での夕食だったが、
それぞれ仕切られていて、
他にも3組の宿泊客がいるようだった。
温泉旅館に一人で泊まる、
なかなかレアなのかもね。

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